価値観の変化

東京の高級賃貸価値観の変化というのを見てみると、かつての高級賃貸というのは、間取りやデザインなど、その物件を単独で語っていました。それが、タワーマンションであっても、低層階に人々が集まるコミュニティスペースを設けたりして、周辺環境を考えた地域との接点を設けることで、価値を高めるようになってきました。

そういった高級賃貸物件のさきがけというのは、六本木ヒルズと東京ミッドタウンの開発といえます。いまでもこの2つは海外から多くの建築家やデベロッパーが訪れるベンチマークとなっています。

また、別の変化として、木などの自然素材が建物の分野で存在感を高めているということです。戦後60年間は、木というものが建築から排除されていたといえます。20年ぐらい前から、不燃化や防湿の技術がすすんできました。

新国立劇場など木を重視した設計もあります。外壁や屋根の構造に木材が用いられています。木のひさしには、植栽が施されるプランもあるようです。

国立競技場はイベントが行われるスタジアムというだけでなく、市民が気楽に利用できるような施設として、周囲の公園の一部になるというのがコンセプトです。

時代の変化を象徴する建物となるはずです。東京の街には価値観の変化が押し寄せているといえます。とはいえ、六本木ヒルズや東京ミッドタウンのような挑戦的な開発というのはなくなっています。保守的な建物ばかりになったともいえます。

それは北京や上海といった都市のスピード感が東京には無いという専門家もいます。東京には、中央線文化や町工場などの東京の伝統的なエリアがたくさん残っています。そうした場所でストーリーのある開発をして東京・都内賃貸の魅力を高めるべきです。

都心のライフスタイルと賃貸の変化

都心に住むというライフスタイルというのは、価値が落ちない東京都心での暮らしのことを指していました。ただ、最近の東京はターニングポイントにあると言われています。

かつて充実した都市機能がある都心というのに、多くの人たちが集まってきました。代表的なのは港区でしょう。港区で賃貸の募集を行っている物件に住むメリットを少しご紹介しましょう。

例えば、港区には駅が多くあるため、どこであっても目的の場所までのアクセスは楽に行えます。また、最先端の流行をいち早く取り入れている大型のショッピングセンターも多くあるため、買い物に困ることもありません。このように集積は都市のちからを支えてきましたし、都心の住宅の価値を高めたといえます。

少子高齢化、グローバル化、株価や為替の乱高下、そしてコロナ禍などといったさまざまな社会の変化が押し寄せています。都心居住者は現在も人口の増加は認められますが、それも2030年ごろがピークという予測もでています。

いま、東京は都市としてどうあるべきかを問われています。私達は都市生活を謳歌していますが、わたしたちの住まい方も試されているといえます。

都心と利便性

現在の東京というのは、利便性でいえば最上級といっていいと思います。

公共交通機関も充実していますし、タクシーに関しても乗車のさいの快適さも世界的にもみてもとてもレベルが高いものです。東京はそういった利便性の向上に熱心だったと言えます。ただ、東京に住む人間の意識はずいぶん変わってきたように感じます。

20世紀はバブルがあって、消費の時代でもありました。それが21世紀には価値観がガラリと変わったといえます。阪神大震災や東日本大震災という大きな災害を経験したからというのがあるでしょう。

また、コロナ禍により見通しが立たないということは、これから都心で暮らすことにどのような変化をもたらすのか。テレワークなどといったことから東京都心のライフスタイルや都内賃貸を取り巻く状況が根本的に変わる可能性もあるといえます。こうした価値の変化は東京の都心の物件や賃貸文化にも表れてくるでしょう。